問1 次の問い(a・b)に答えよ。
a 次の文章中の空欄[ア]に入れるのに最も適切なものを、後の⓪~④のうちから一つ選べ。
インターネットで情報をやり取りする際、発信者が本人であることを確認するためにデジタル署名が利用できる。また、デジタル署名を用いると、その情報が[ア]を確認できる。
⓪複製されていないか
①暗号化されているか
②改ざんされていないか
③どのような経路で届いたか
④盗聴されていないか
正解:②改ざんされていないか
この問題は「デジタル署名」の役割について尋ねています。
デジタル署名には、主に2つの大きな役割があります。
- 本人証明(誰が送ったか)
文章にある通り、情報の発信者が「本人であること」を確認できます。これは、本人の「秘密鍵」でしか作れない署名を「公開鍵」で検証することで実現します。 - 完全性の保証(中身が変わっていないか)
送られた情報が、途中で誰かに書き換えられていないこと(改ざんされていないこと)を確認できます。
今回の問題文では、前半で1つ目の役割である「本人証明」についてすでに説明されています。
そのため、空欄[ア]には2つ目の重要な役割である「改ざんされていないか」が入るのが最も適切です。
⓪複製されていないか
デジタルデータは簡単に複製(コピー)できるのが特徴です。デジタル署名は、複製を防ぐ技術ではありません。
①暗号化されているか
「暗号化」は、情報を第三者に読み取られないように隠す(秘密にする)ための技術です。デジタル署名は本人証明と改ざん検知が目的であり、情報そのものを隠すわけではありません。(しばしば暗号化とセットで使われますが、役割は別です。)
③どのような経路で届いたか
情報がどのサーバーやルーターを通ってきたかという通信経路を知るためのものではありません。
④盗聴されていないか
「盗聴」を防ぐのは「暗号化」の役割です。デジタル署名だけでは、通信の途中で情報を盗み見られることを防げません。
b 近年、128ビットで構成されるIPアドレスが利用されるようになった理由の一つとして最も適当なものを、次の⓪~④のうちから一つ選べ。
[イ]
⓪有線LANだけでなく無線LANにも対応するため。
①大容量データの送受信に対応するため。
②インターネットに直接接続する機器の増加に対応するため。
③漢字などの英数字以外の文字で表されるドメイン名に対応するため。
④HTMLの仕様変更に対応するため。
正解:②インターネットに直接接続する機器の増加に対応するため。
この問題は、なぜ新しいIPアドレスの仕組みが必要になったかを尋ねています。
ポイントは「IPアドレスの枯渇(こかつ)」です。
昔のIPアドレス (IPv4)は32ビットで構成されています。つまり、約43億個 (2の32乗)のアドレスしか作れません。インターネットが始まった当初はこれで十分だと考えられていました。
しかし、今はパソコンやスマートフォンだけでなく、家電、車、センサーなど、あらゆるモノがインターネットに接続されるようになりました(IoT)。その結果、世界中の機器にIPアドレスを割り当てると、約43億個ではまったく足りなくなってしまいました。これが「IPアドレスの枯渇問題」です。
この問題を解決するために、128ビットで構成される新しいIPアドレス (IPv6) が作られました。約340澗(かん)個(2の128乗)という、ほぼ無限に近い数のアドレスが利用できるようになりました。
これにより、今後どれだけインターネットに接続する機器が増えても対応できるようになったのです。
したがって、128ビットのIPアドレスが利用されるようになった最大の理由は「インターネットに直接接続する機器の増加に対応するため」となります。
⓪有線LANだけでなく無線LANにも対応するため。
古いIPv4でも、問題なく無線LANは利用できます。これは理由になりません。
①大容量データの送受信に対応するため。
データの容量とIPアドレスのビット数は直接関係ありません。通信速度などは別の技術で決まります。
③漢字などの英数字以外の文字で表されるドメイン名に対応するため。
漢字などのドメイン名は「国際化ドメイン名(IDN)」という別の仕組みで実現されています。IPアドレスの仕組みとは直接関係ありません。
④HTMLの仕様変更に対応するため。
HTMLはウェブページを作るための言語です。IPアドレスは通信の宛先を示すもので、全く違う技術なので関係ありません。
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